不動産契約
桜の開花も始まりました。気持ちの良い季節になってきましたね!
春は、不動産契約も活況になりますね。今回は、地主側に視点をおいた「定期借地権のメリット・デメリット」です。
メリット
①土地を手放すことなく長期安定収入が見込める。
②住宅地で設定すれば、小規模宅地の適用により固定資産税及び都市計画税が軽減される。
③無借金事業が可能。宅地造成費用などの事業資金を必要とする場合は、契約時の一時金の充当が可能。
④土地の評価額が圧縮されることで節税効果がある。遺産分割、納税効果がある。
⑤地主は、前受地代を貸与期間に応じて収入計上できる。借地人が事業者の場合は、貸与期間に応じて経費計上ができる。
デメリット
①長期の土地利用の拘束がある。
②定期借地権の権利設定として権利金が授受され、一般的には不動産所得として課税される。
③期間満了時の保証金返金負担
注意点
①将来資金不足で地代の不払いを起こさないか
②賃貸借期間をどう定めるか
③借主側複数人ABとの借地契約で、地代不払いがあった場合、不可分債務になります。A一人に対して全額請求もしくはB一人に対して全額請求が可能です。地代の不払いを理由とする解除通知を出す場合、AB両方に通知を出さなければなりません。
契約書作成上の注意点
①建物増改築時の承諾についての条項を入れておいたほうが良いでしょう。
②賃料の不払いを怠った時、貸主は契約解除できるとしても、信頼関係を破壊する程度でなければ契約解除はできないのが判例です。
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★借地権には、「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」と「一時使用目的土地賃借権」があります。
一般定期借地権 | 事業用定期借地権 | 建物譲渡付借地権 | |
存続期間 | 50年以上 | 10年以上50年未満 | 30年以上 |
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目的の制限 | なし | 事業用(一部は不可) | なし |
更新 | なし | なし | |
期間延長 | なし | なし | なし |
買取請求権 | なし | なし | 借地権設定後30年以上経過後あり |
契約形態 | 書面 | 公正証書のみ | 口頭可 |
① 一般定期借地権
借地権は更新されることなく終了し、土地は原則更地で返還されることになります。戸建て住宅やマンションの居住用に、最も活用されています。
土地の評価額が圧縮されることで、相続税の節税効果があり、また、借地人が住居用建物を建てた場合、固定資産税が軽減される。
②事業用定期借地権
借地上の再築しても、借地期間は延長されません。契約満了後、借地人から地主への建物買取請求はできません。
専ら事業用の所有に限定される契約のため、一般の居住用目的や社宅などには設定できません。また、一つの建物の一部を事業用で、かつ別の一部を居住用にする場合、設定することはできません。
③建物譲渡特約付借地権
土地を借りた事業者がマンション、店舗などで賃貸経営をし、期間満了に伴い、地主が建物を買取り賃貸経営を継続していける。
借地人は、建物付きで土地を返還しなければなりません。
期間中に起こりうる「建物が第三者に賃貸または譲渡され第三者が占有した場合」、建物賃貸借が継続するか否か新たな建物所有者が借地契約の内容を承継するか否か問題が生じる事案に備えて、建物譲渡について当初から仮登記(不動産登記法105条2号)をしておくというリスク軽減策もあります。