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相続 vol.4

季節の移り変わりは本当に早く感じられます。紫陽花を目にするようになり、早くも梅雨入りしました。
今回は、『相続税減額の遺言書作成』です。

昨今遺言書の作成が増加してきましたが、遺言書が作成されていたものの遺言書どおりに遺産分割した場合、税務上不利になってしまうケースがあります。
相続税の計算には、いくつか特例制度がもうけられており、その中で財産の取得者の個性によって受けられる特例制度があります。代表的なものとしては小規模宅地等の特例制度』が挙げられます。被相続人と同居していた親族や自身ないし配偶者の持ち家に住んだことがないなどの要件を満たした親族が、被相続人の居宅を取得した場合、土地の評価額が最大で8割減額されます。減額幅が大きいため、相続税額への影響も大きく無視できない金額になることはよくあります。
また、配偶者が取得した財産については配偶者の法定相続分と1億6千万円のどちらかが多い額まで相続税は課税されません(配偶者の相続税額の軽減制度)。
それでは、遺言書があるものの、遺言書どおりに分割した場合には前述の特例が受けられず、相続税額が多く発生してしまう場合、どのような対応があるでしょうか。

まず、法定相続人全員の同意が得られる場合には簡単です。遺言書があるからといって、必ず従わなければならないものではありません。遺言書によらずに相続人全員の同意に基づく遺産分割協議を行うことができ、その協議において税務上有利な分割を行えば良いのです。

ただし、特定の相続人に有利な内容の遺言書も多いことから、遺言書のよらずに分割協議を行う場合には、遺言書において不利な相続人は、遺言書よりも多くの財産の主張をしてくるでしょう。このような場合、遺言書から協議分割へと簡単に切り替えるわけにもいきませんが、以前このようなケースにおいて遺留分の減殺請求を利用した節税を行いました。

ケース1

相続人  [・後妻A  ・後妻Aの子B ・前妻の子C(後妻と養子縁組なし)   ]の3人
遺言書内容 {事業を引き継ぐBに対し、全財産の9割程度を相続させ、残りをCに相続させる}

Aは、遺言書に賛同していましたが、配偶者の相続税額の軽減制度によりAが遺産を相続すれば、相当程度の相続税の減額をすることができました。他方Cは、Aの会社とは無関係で遺言書に不満をもっていました。したがって、相続税が有利になるからといって分割協議に切り替えるとCは法定相続分を主張してくる可能性が高いためできませんでした。

そこで、Aは遺言書の内容に不満はないものの、あえてBに対し遺留分の減殺請求をし、その協議の中で一部遺産をAに相続させることにしました。この方法により、遺言書を活かしたまま財産を分割でき、なおかつ相続税の減額が図れました。

全てのケースでうまくいくとも限りませんので、やはり遺言書作成の段階で税金に配慮することが肝要です。

さらに、作成後にも税制改正や相続人の個性の変化により税金の計算も変わることがあるので、定期的に見直すことも必要でしょう。

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